【名人 2号】 釼吉恵美子さん  岩手県北上市 2006年8月25日取材
 
 

得意技 : 絵本作り  

『家族の絆が叶えた、お母さんの夢』

やっと、名人のコーナーは2号になります。
3号を書いたら、“シリーズ”という言葉を使おうと思いますが、
とりあえず、2号目の今回は“コーナー”にとどめておきます。

こういう訳のわからないことを書いていると、
自分がコーナーに追い詰められそうですので、
本題に入ります。

今回は、昨年、“華々しく”とまではまいりませんが、
華麗に絵本作家としてのデビューを果たした、
本業は主婦業の釼吉恵美子名人からお話しをうかがいました。

この涼しげなフェイスに、いろんなものが宿ってるのよおおおぉぉぉおおお〜

ふと立ち止まって、自分の人生を考えてみた時、
感じることは、人それぞれなんだと思います。
追い立てられるように生きた人生に、
「そんな私の人生はなんだったのか?」
そんな思いもあれば、
他人の目には順風満帆に映る人生に、
一抹の物足りなさを覚える人もいることでしょう。

どんな感じ方も、いいも悪いもなければ、
正解も不正解もありません。
いずれにせよ、その瞬間、
何かが突然変わるわけではなく、
連続した人生のレールは一瞬も途絶えることなく続いていくものです。

しかし、そこで、“何か”を強烈に感じて、
一気に、軌道を変えていく人もいます。
それは、必ずしも幸せな人生に進んでいくと限ったことではなく、時には、ズッと歩き続けてきた並木道から、
一気に崖を転げ落ちるような場合もあります。
一方、自分でも気づかぬほどの力に後押しされながら、
砂利道を舗装していくような人生を歩むこともあるような気がします。


 

“私の夢は?”

そんな軽い自問から、一つの商品を作り上げたのが岩手県北上市の釼吉恵美子さんです。
“夢”を大仰に語り、モチベーションと勘違いするのが、起業を煽る昨今の流行ですが、
そんなものには全く左右されることなく、ご自身の“夢”と静かに対話をされました。

その静かなる“夢”実現への一歩を踏み出したのは、平成15年11月15日だったといいます。
よくいう、“頭を雷で打たれたような”などというようなものではなかったそうですが、
なぜだか、この日は記憶に残っているんだそうです。

さて、思い起こすと釼吉さんの人生は、まさしく中庸をひた歩んできた、
決して、ひた走ってきたのではありません。歩んできた人生だと自分でおっしゃいます。
その人生に、決して強い不満があったわけではありません。
ただ、強いていえば、何かを目標にそこに向かって進むというような経験が、
自分の記憶にはないような気がするということです。

だから、もしかしたら、“夢”という言葉に、非常に純粋に、子どものように反応したのではないか。
そう、私は思います。

それからは、軽く意識の中に“夢?”が小さな疑問形を伴いながら、存在するようになりました。
だから、そっから先は、無意識が、静かに静かに、夢の実現に向かって動き出したようです。

お隣は実の妹さん、釼吉優子さん。バレーボールの吉原クリソツ  ご主人のあきひろさんは、若き日の江藤淳にクリソツです。

平成17年のある時、ふと目についた出版社の公募に応募してみました。

そして、気がつけば絵本作家としてのデビューが決まりました。
そう、ちなみに、現在は専業主婦ですが、以前は普通のOLです。

平成17年の7月に出版社との打ち合わせがスタートしました。
実は、釼吉さんには考えがありました。

一人で出版するのではなく、家族全員で作り上げよう、と。

その時、二人のお子さんは、上のおねえちゃんが5歳、弟さんが3歳。

小さな子どもたちを、むしろ作品作りの主役に据えました。

とっても仲良しな姉弟

おねえちゃんは“絵”を、そして、弟は“文字”を。
もちろん、文字は一部ですが、絵は全ておねえちゃんです。

そして、お父さんは、切った貼ったです。
別にその筋の人ではありません。
版下の切り貼りです。

今時、文字も絵も100%アナログな完全版下です。

この手で描いたのよ〜  僕だってええええ〜

そう、そして、2ヶ月後の9月2日に初稿をあげるという、鬼のようなスケジュールです。
しかし、なにしろ、全て切り貼りの版下ですから、修正の度に、そのページは完全やり直し。
夜を徹するような日々が続きました。普通に勤めるお父さんも必死です。
子どもの必死な姿を見て、親が手を抜くことは許されません。

そして、悪戦苦闘の日々が続き、ついに、その絵本は出版されました。

平成17年11月15日。あの日からちょうど二年の月日が流れていました。

 

 「だあれかな だあれかな じゅうにし」
  さく/えみこ え/みさき もじ/としほ 協力/あきひろ

普通の家族が成し遂げた、出版事業、そして、家族永遠の絆の証です。

これが家族の肖像です

ドンど晴れ!

【取材後期】


ほんの少しの力みも感じられません。

案外、何かをやってしまう人というのはそういう方なのだということを
強く確信した私の拳に力が入ります。

だから、こんな私は、さっぱり修行が足りないということを思い知らされました。

まだ、小さなお子さんたちは、お母さんや自分たちが成し遂げた偉業に気づいちゃいません。
しかし、きっと、いつの日か、この三つ児の魂が騒ぐはずです。

元気いっぱいのお子ちゃまたちも駆けつけてくれて、
家族総出のインタビューになりました。

とても楽しかったです。

ありがとうございました。

 

 
     
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